とても動揺した中での運転だった。
余裕がなく、どのコースでいけるのかも途中でわからなくなった。
先生からギアチェンジのあとのクラッチをはなすのが遅いと言われた。
ぱっとはなす。
それがどうしても出来ず、ゆっくりとはなしてしまう。
早くはなすと、車が揺れてしまう恐れがあって、慎重になってしまう。
何度やっても足をぱっとはなせない。
途中から、運転をしている感覚がおかしくなってきた。
前はもう少しぱっとはなせていたはず。
“運転が下手になっているのか?”
少しずつ体に染みついてきたギアチェンジでの足さばきのこつ。
でも、どう動かしたら綺麗にギアチェンジできるのか、まったくわからなくなってきた。
そんな運転の中で目的地のカーショップに着いた。
車を見ながら気分転換をする。
ちょっとだけ、ギアへの意識を確認する。
行きの運転の最後らへんでわかりかけていた。
今のまま、クラッチをぱっとはなしても2速、3速だったら車体が揺れてしまう。
ギアを変えた直後のアクセルの踏みがちょっと遅いのだ。
踏み過ぎを恐れて、一瞬ためらう時間があるのだ。
帰りの運転では、ギアを変えた直後のアクセルを早く踏もうと意識する。
何度やってもまだクラッチをぱっとはなせない。
なかなか、アクセルを早く踏めない。
でも、アクセルを親指でコントロールする感覚が少しずつわかってきた。
細かい足さばきが出来る分、踏むスピードも上がる。
「運転が上手くなってる。行きとでは全然違うな」
先生だった。
意外な言葉でびっくりした。まだ、クラッチをぱっとはなせてないのに。
そうか、上手くなってるのか。
うれしかった。
体の固さがとれてきているのがわかった。
こしを軸に手足を動かしてくる感覚が出てくる。
右に寄りすぎている車体を真ん中にしようという意識も持て始めてきた。
まだクラッチをはなすのが遅い。
右に寄りすぎている。
運転で上手くできなかった部分を何度も感じながら運転した。
直そう、次は直そうと思いながら運転をした。
常に課題を感じていた。
運転を終えた後、長い距離を走れたことへの達成感と、上手くできなかった部分を直したい気持ちが半々であった。
自分で感じている課題はまだまだたくさんある。
だから、次も乗るぞって気持ちにすぐになれて、家に戻っていった。