先週の金曜日、峠を初めて走った。
あれから4日が経とうとしている。
今、思うととても無茶な運転をしたなぁと思う。
峠のくねくねした道に対応できずに反対車線にはみ出てしまうことがたびたびあった。
とても危険な運転だった。
前の車から遅れずについていきたかった。
だから、出来るだけスピードを緩めたくなかった。
思いきり緩めれば、コーナーも対応できたと思う。
でも、それだと前の車に追い付かなくなるのは分かっていた。
走るリズムがガタガタになるのが分かっていた。
峠は奥に行くほど、道がくねくねしていく。
走行がどんどんめちゃくちゃになっていく。
右回りの時に車が反対車線に大幅にはみ出てしまう。
ある左回りのカーブで対向車が来たからスピードを思い切り緩める。
また走ろうとしたけど、その道は周りが暗く4速のままだったためにエンストした。
それでようやく自分でも今のままの走りだと危険だと感じるようになった。
無茶な走りは止めて峠をまた上り始めた。
目的のダートコースに着き、休憩に入る。
僕は疲れ果てていた。
時間は10時を過ぎていた。
出発前に1時間走っていたから、5時間走ったことになる。
ただ、長時間走ったこと以上に、自分のリズムを失った中で運転したことがどっと疲れさせていたのは間違いなかった。
これで帰りは持つだろうか・・・。
不安を抱える中、僕はインプレッサの中で体を休ませながら、コーナーを走る対策を練った。
カートでコーナーを攻めた時は、大きく弧を描いてから中に入っていたことを僕は思いだした。
それをやったあとは・・
僕が考えている中、先生はメンバーを乗せてダートを攻めていた。
僕が乗せてもらえる番になる。
頭を切り替えて、助手席に座る。
今日で2度目のダート助手席体験だけど、
お~すげ~を連発する。
その間、僕は先生のハンドルさばきをずっと見続けていた。
ずっと、右に左にハンドルを回し続けている。大きく回したり、小さく回したり。
その姿は肉弾戦という言葉を連想させ、コースと格闘しているなぁと感じてしまった。
僕は声に出して興奮していたけど、でも、前と比べてちょっと冷静でいられてもいた。
先生はどうダートと対応しているのか・・
僕は先生のハンドルさばきをずっと見続けた。
往復して戻ってきた。
どんなテクニックが駆使されているのか、さっぱり分からなかったけど、ハンドルをくいくいぐいぐい常に回し続けている姿がとても目に焼きついている。
ダートって、コースと肉弾戦が出来て、気持ち良いんだろうなぁ・・・
ダートの余韻が残る中、車から出てインプレッサの中に戻る。
周りでは、メンバーがドリフト族と交流していた。
Hさんがドリフト族の助手席に乗せてもらった。
いいなぁ・・・
僕も思わず乗りたくなってしまった。
乗れそうな雰囲気だったから、僕もお願いしてみる。
初めてのドリフト助手席体験。車はチェイサー。
まずは、下ってサイドターンで車の向きを上りに変える。
ものすごいスピードで車が半回転して思わず、お~と声が出た。
早くも興奮してしまった。
体にくる衝撃が思っていた以上で、スリル満点だった。
その後、上ってカーブでドリフト。
またも、お~すげえ~と声が出る。
声に出して、お~いっすね~と何度も行っていた。
自然と声に出ていた。
興奮しっぱなし。
ドリフトの体感はとても気持ち良かったし、上手く決まったときはかっこ良かった。
3周くらいしてもらい、車から出ると心が晴れていた。
お礼に、チェイサーのドライバーに、先生の車に助手席に乗ってもらい、ダートを体感してもらう。
戻ってくるとは彼も興奮していた。
コーナーに入る前に反対にハンドルを振ってからコーナー側に回している!と、興奮した気持ちを声にして出している。
その言葉を聞いて、このテクニックは、峠のコーナーでも使えるなと思った。
コーナーを曲がる意識は、反対にハンドルを振ってから、コーナー側に回る。
帰りの運転が始まる。
行きに着いていけなかったこともあって、帰りはスピードを抑え目だった。
このスピードだと対応は出来ている。
途中からスピードが上がっていく。
スピードが出るとやっぱり右回りに対応できない。
反対車線に出ないようにと、減速を積極的に使うことにした。
それでも何とか遅れないように着いていく。
どうすればコーナーに対応できる!?
そればかり考えていた。
運転をしていると、気持ち良い瞬間がある。
その気持ち良さは、上手に走れている表れだ。
帰り道、僕は気持ち良さを微々たるものだけど、感じ始めていた。
それはなんだろう・・
体が気持ち良さを求めようとしている。
欲している。
その気持ち良さは何だ!?
僕はコーナーになると、ハンドルを細かく左右に振るようになっていた。
くいくいくいくいと右に左に小刻みに振る。
そうしていると、コーナーを綺麗に曲がれていく。
気持ち良さの正体はこれだった。
ハンドルの細かな調整。
これまではカーブの方向に任せてハンドルをその方向に向けっぱなしだった。
でも、それだと対応しきれない。
ハンドルでの繊細な調整が必要だったんだ。
それが分かってからは、僕は積極的にコースをハンドルで調整して走り、カーブの度に怖さとともに気持ち良さを味わえるようになった。
道のカーブが緩やかになり始めていたこともあって、以降は峠のコースに対応して帰っていくことが出来た。
驚くべきは、それだけじゃなかった。
峠を出て平坦な道に出た後も運転が楽になっていた。
ハンドルの細かな調整が出来て車線の真ん中に行きやすくなったから、スピードも出せるし、
何といっても、ギアチェンジがスムーズになっていた。
今ままで四苦八苦してそれでも綺麗に出来なかったギアチェンジの失敗が大幅に減った。
何か考えたわけじゃない。
自然と体が動いてくれるのだ。
スピードは出せるし、道の細かな修正は出来るし、ギアチェンジはスムーズだし、
運転していて、気持ち良くて気持ち良くて最高に気持ち良かった。
行きはとても疲れていたけど、帰りは不思議と元気になった。
家に着いてもまだ走りたりないくらいだった。
峠に行って良かったと心の底から思った。
でも、まだ右回りのカーブに対応出来ていない。
次峠に行くまでになんらかの対策を練らないといけない。
それと、忘れちゃいけないのが初めてのドリフト体験。
これも最高に気持ち良くて、ドリフトに向き合いたいという思いがこの日とても強くなった。