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バカボンドで振りかえるこの1年

年度の終わりを迎えるこの時期、
僕は『バカボンド』を読み返す。
バカボンドは、僕の人生の参考書であり、思い悩んでいるときはすぐに読み返していたことを、先生の言葉が思い出させてくれたのだ。
「自分と戦うのか、戦わないのか、この1週間で決めるんだ。『バカボンド』を読み返してこい」
そう言われたのが先週末の出来事。
それ以降、仕事から帰っては、バカボンドに読みふけっていた。

バカボンドは、宮本武蔵が剣の道を究めようとする漫画だ。
宮本武蔵というと、強い剣豪というイメージを持つ人が多いと思われる。
この漫画も序盤から武蔵が野武士を倒すシーンがあり、武蔵の強さが印象付けられる。
そう思わせておいてこんな台詞が出てくるのだからこの漫画は面白い。
坊主が武蔵に言った台詞だ。

「お前に触れたら切れそうだ
そうやってまるで刃物のように
神経をとがらせ
人を寄せ付けないのは
人が怖いからだ
お前はこの村で一番弱い」

強さばかりを追い求めて、勝負を仕掛けていく。勝ちを求めていく武蔵。
それは、彼が人を恐れているからだった。

そんな武蔵に僕は感情移入する。
僕は思い出した。
僕は、常日頃、不安がつきまとい、怯えていることに。
今も不安はつきまとっているというのに。
けれども、僕はその事実に目を向けることをしなくなっていた。
不安から逃れるよう、そのためにあがこうとかいった必死さが薄れていた。
その必要がなくなったから?
それとも、自分自身を見失っている?

武蔵は、自分が弱い人間であることに目を向けずに、強さばかりを追い求めていた。
強さを確信するための勝ちを求めていた。
僕も強さを求め、勝ちを求めていた時期があった。
その執着が今は薄れていることに気付く。
それは良かったことなのだろうか?
なぜ、執着が薄れていったのだろうか?

その答えは先生とのメールのやりとりにあった。

>先生へ
前回のメールで言葉足らずなところがあって、昨日、僕が目指すべき道は武蔵じゃないと実感したんです。

武蔵やジョーに憧れていたけど、感情移入できる部分もすごくあるけど、かれらは剣やボクシングのほんの一部分しか楽しめていないし、破滅的な生き方にはもう憧れなくなっちゃいました。

かといって彼らに幻滅しているわけではなくて、やはり感情移入できる存在ではあるんです。進むべき道じゃなくなっただけであって。

でも少年の気持ちをもつこと、大切ですよね。編集部にいると、仕事しながらその部分をどんどん育てられるって感じます。今の環境を大切に思って仕事に取り組んでいきたいです。



>koukiへ

お疲れ様。
仕事に対する姿勢がバツグンだね。

武蔵の事も了解した。

「本物の剣の道」とは「人を殺すための剣」ではなく「人を生かすための剣」だし、それは「武蔵、ジョーを超えて初めて見える道」でもあるし、それは「覚悟が出来るまでの道」か「覚悟が出来てからの道」かという差となる。

ゆえにいつも「破滅的な生き方」をベースにした「人を殺す剣」とは「破滅への道」であり、終わりはいつも「死」となるが、「人を生かす剣」に例えられる「生きるための道」の終わりは常に「生」であり、それは破滅への道の終わりから始まる。



このとき、僕は武蔵流の生き方に別れを告げたのだ。
しかし、僕は一つ大きな過ちを犯してしまった。
バカボンドという漫画の存在を僕の心の奥底に沈めてしまったことだ。
破滅的な武蔵の生き方には決別をすべきでも、武蔵の覚悟が出来るまでの道のりからは、目を背けてはいけなったのだ。
目を背けずに覚悟ができる道のりを実践しようと思いながら生きていたら、成長の速度はまた違っていただろうに。
けれど、僕は日々を生き抜くだけで精一杯だった。
先を見ることもできず、一日一日を消費していた。

バカボンドに話を戻そう。
バカボンドは宮本武蔵の強さを描いた漫画ではない。
自分自身を見つめ、自分自身と闘おうとする男の心の成長を描いた物語だ。
だからこそ、この漫画には共感できる言葉が数々書かれている。


「そろそろ己を眺めてみたらどうだ」

「どんな剛の者でも真剣勝負は怖い。
じゃがその恐怖から目をそらさずに受けとめ
それを傍らにのけておくことができる
それが本当に強い者じゃ」

「見まいとすればますます心とらわれる。
一枚の葉にとらわれていては木は見えん
どこにも心を留めず見るともなく全体を見る
それがどうやら見るということだ」

僕は何も見ようとしない人間だ。
1年前から分かっていたことだし、今もそうだ。変えることできずにいる。
他人から目を背けてきた。
他人を知り、自分がいかにちっぽけな存在であるか、感じてしまうのが怖いからだ。
目に映るからものから心を背けてきた。自分がいかにみっともないことをしているのか、知るのが怖いからだ。

「技の研鑽はすばらしいが
心の中は“我”のみ。
『相手に勝ってやろう』
『己の力を』『強さを』『存在を誇示したい』
『俺を見ろ』と。
そんなことのために剣はあるのか?
我々が命と見立てた剣はそんな小さなものか?
我が剣は天地とひとつ。
故に剣は無くともよい」

どの言葉も僕の心に突き刺さる。
僕はまさにそういう人間だ。
相手に勝つとか、自分の力を誇示するとか、そんなちっぽけな思いにばかり振り回され、その思いがこの1年で少しは薄れたかもしれないけど、肝心な決意をしなければ意味なんてない。
だからこそしよう。

自分を眺めみて、振りかえる。
自分自身の心の弱さに負けず、積極的に自分にプレッシャーをかける。
相手と闘う前に自分自身と闘う。
そして、自分を劇的に成長させていくぞ。
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by postmanda | 2007-03-24 13:03

告白しよう

「お前らはいつも撮影したらそれでおしまいだ。どうしたらもっと楽しくなるかを追及しない。やらされてやってるだけだからだ」
撮影を終えて帰ってきた僕たちに、先生はそう言った。
今日撮った映像を見てもいないのに。
「見なくても帰ってきた雰囲気で分かるよ」
と先生は僕たちの心を読むように言った。

そりゃそうだ。
撮影を終えた僕たちは、撮影のことで全然盛り上がっていない。
撮影の話は一切出てこない。
映像を再生してテレビに映しているのに、食い入るように見ようともしていない。
どこにももっと楽しくなるためにはを追求する気持ちがない。
撮影する雰囲気に少し慣れたるんできた僕たちは、活を入れられたのだ。


今日だから告白しよう。

僕は自分が撮影した映像を見たいとは思わないんだぜ。
よく撮れたと思ったためしがないからな。

今日だから告白しよう。

僕はこの劇団に出演した舞台の映像を進んで見たいとは思わないんだぜ。
良い舞台を作った実感がまったくないからな。

今日だから告白しよう。

僕はブログに日記を更新した後、何度も読み返しているんだぜ。
自分の書いた文章に酔いしれてるからな。

自分が作ったものを見返す、見返さないの違いは簡単だ。
楽しませようという気持ちをこめてこのブログの日記を書いているから。
飽きさせないようにという配慮をいれてこのブログの日記を書いているから。
そんな最低限のことすら、映像作品ではしてこなかったのだ。
どうやったら上手く撮影できるかは悩んでいたけれども、
どうしたら楽しい映像ができるかなんて考えもしなかった。
もの造りの原点を忘れていた。
いや、目を背けていた。
このままじゃいかんぜ。
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by postmanda | 2007-03-18 01:54

入社して1年

体の具合が悪くなるのはあっという間だ。
1日平均17時間労働。
朝の5時まで仕事なんて当たり前。
疲労がたまり、そのため身体のあちこちに無理が出てきていた。
それでも机の前に座り仕事に向かう。
通常の仕事だけでも終電近くまで残って仕事をしているのに、
特集記事の仕事やら、仕事の引継ぎ作業やらでやるべきことがどんどん増えていった。
締め切りまでに仕事を終わらせなければ。
ただそれだけの思いで、僕は仕事を続ける。
僕はこの編集部で何をしたかったのだろう・・・
心の底ではそう思いつつも葛藤する心の余裕さえ持ち得ていなかった。
そして週末の金曜日。
仕事は一向にはかどらず、
その日も徹夜になった。
終電がなくなっても編集部に残っていたのは、僕と職員の先輩の2人だけになっていた。
「今度のコウキの担務替えは不本意だよ」
と先輩が言ってきた。
僕はあと2週間で担当の仕事が替わる。
今の仕事は、出来ていないから担当が替わることになったのだ。
僕はうれしくてたまらなかった。
今の仕事がいやでいやでしかたがなかったのだ。
それが今回の担務替えの正直な気持ち。
しかし先輩は違っていた。
「今回、コウキは負けたと思ってる」
先輩の言葉が心に突き刺さる。
僕は結果に目を向けようとしていなかった。
辛いことから目を背け、周りからの評価に耳を傾けようともせず、
美味しいところだけ意識を向けていた。
今の仕事よりもやりがいのある仕事が与えられる。
でも、認められての昇格ではない。
今の仕事は勤まらないから仕方がなく。
誰も認めない昇格劇なのだ。
僕はこの職場に居場所があるのだろうか。
この半年間のダメな仕事っぷりでもともとなかった信頼は再生できないところまで砕け散った。
「仕事が変わったら今よりも動きやすくなるだろうから、俺の仕事を協力してもらいたいんだ」
先輩は続ける。
「そして来年にはいっしょに仕事をやろう」
その先にはあのビッグイベントの名前が続いて出た。
あのイベントの仕事を僕と先輩でいっしょで・・・・
僕はちょっと心が揺れた。
先輩は先のことまで僕のことを考えていた。
僕は自分自身のことさえこの編集部でこの先何をしたいかビジョンを持っていなかったのに。
僕はこの編集部で自分自身の可能性を捨てていた。
誰もがもう僕に期待をもたない。
当の本人である僕さえもそう思っていた。
でも、先輩だけは違っていた。
この僕にまだ期待を持っている。
一緒に仕事をするようになったら先輩も僕に失望をするかもしれない。
でも、僕はまだこの編集部でやり直せる。
僕が僕の可能性をあきらめないかぎり。
先輩は続けた。
「自分でやりたい企画をどんどん出していこうよ。仕事は楽しいことやらないと」
自分のやりたいことをやるために、仕事を楽しむために僕は編集部を希望した。
そんな入社当事に抱いていた思いを、僕は編集部に所属してから1年経った今、思い出すことが出来た。
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by postmanda | 2007-03-17 01:03