2007年 08月 22日 ( 1 )

気持ちよくお仕事

「ありがとうございます、よろしくお願いいたします」
電話なのに頭を下げて、オレは受話器を切った。
携帯の着信履歴に表記はされている文字は、CD(チーフ・ディレクター)。

先週まで特集記事をやっていた。
そのとき、CD(チーフディレクター)にはとてもお世話になった。
作家のもとにいっしょに挨拶にうかがった。
そのあと、2人で夕飯を食べて、記事のネタになる話をたくさんしてくれた。
帰り際、作家さんの話になった。
“気さくな先生だったね”
その日味わった喜びを2人で確認しあった。
それが3週間前のこと。
そして先週、ようやく記事のゲラを出すことができた。
すぐにCDに届けた。
その1時間後、オレは部屋に呼ばれた。
その場で、CDよりもえらい立場にあるCPから、原稿にたくさんの赤字を入れられた。
ここの文章、おかしいだろと何度も言われた。
間違っちゃいけないケアレスミスも何度か見つかった。

オレがやっていることは雑な仕事なのだ。
それが顕著に表れてしまった。

オレの書いた記事は、CDたちを失望させた。
たいへんお世話になっていたというのに。

編集部に戻ったオレは、大量の赤をまとめる作業におわれた。
どうしても文字数が足りない。
たくさんダメだしされて、もう使えるネタも切れてしまった。
一度ダメだしされた言い回しを使わざるえなかった。
なんとか特集が校了を迎える。
そのときは無我無我中でやっていた。
ただ、だんだんと時間が経つにつれ、CPの意向を反映させなかった箇所があるのはまずいのではないかと思い始めてきた。

CDから電話がかかってくる。
「特集の方はどう?」
「なんとか校了できました。今から雑誌もっていきますね」
オレはとても後ろめたい気持ちを持ちながら、CDに雑誌を届けた。
雑誌を渡して逃げるようにしてそそくさとその場を去った。
顔を合わせることができなかった。
大きな問題になるのが怖かった。
こうしてオレは仕事で関わった人を失望させ、こいつにだけは仕事を任せられないという思いにさせてしまうんだ。


その数日後、オレはちょっとした用が出来てしまい、CDに電話をかける。
「いや~良かったよ、特集」
受話器から届いたCDの第一声がそれだった。

失望させてなかったんだ・・・

うれしかった。
失望させたことにじゃない。
自分の仕事が感謝されたから。

人に感謝される仕事をする。

奇麗ごとは嫌いだけど、喜びを分かち合えることって気持ちいいことだ。
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by postmanda | 2007-08-22 03:28