上手な話し方

「今も仕事中に特に上手くしゃべらないんですよね」
と言った。
すると先生は「上手く話そうとするから話せない。下手でもいから一生懸命に伝
えることだ」
と答えてくれた。
形じゃなくて、伝えることが大事なのか・・

ついつい上手く話そう、話そうとしてしまう。
格好をつけようとしてしまうんだろうな。
一生懸命に話すことが格好悪いと思ってるんだろうな。
そんな風に感じることこそ、格好悪いって教え続けられてきたのに。

でも、この癖はなかなか直らないんだ。
染みついてしまってるんだ。


それから、先生には「自分がいかにポーズだけで仕事してるのか、少し分かって
きました」といったことも話した。

先生は「ポーズだけで動いてることが分かるようになれば、それで失敗する癖が
治るのももう少しのところまできている」と言ってくれた。

もう少しで治る・・
でもあまり実感がわかなかった。
物心ついたときには、そうなっていた癖なのだから・・・


この日は、ヒデミさんの家の引越しだ。
引越しで自分を見失っているというヒデミさんは、ミスをして先生から叱られた

すぐに謝らなかったことがミスの印象を余計に悪くさせた。
それから、引越し作業は再開したけれど、しばらくしてから先生は引越しの作業
は止めだと言った。

引越しを早く終わらせたいのに・・・・
困ったなと思った。
しばらくして、先生が着替えを済ませて顔を見せた。
「ヒデミの家で活動はもうしない。今後は、個々で用があるなら連絡してくれ」
と言った。
事実上のキッズTV解散通告だった。
引越し上でのミスから解散にまで発展するとは思いもしなかった。
舞台の上での失敗でも、番組制作する上での失敗でもないのに。
でもそれが先生の出した答えだった。

先生の説明の後、ヒデミさんも事情を説明した。

ヒデミさんは泣きながら自分の思いを話す。
何を伝えたかったのか、正直よくわからなかった。
泣きじゃくっていたこともあって。
でも、清瀬のときのように活動を続けていきたいんだなって思った。

ヒデミさんの必死な姿に、とりあえず引越しは再開することになった。活動の今
後については保留にして。
その後、オレの方で異変が起きた。

会社の仕事でミスしつないか、気になってることを思い出してしまったのだ。
一気に落ち込んでしまった。

なんでだっていうんだろう。
そんなに大きなミスでもないし、今は劇団の活動をしている時だ。
なのに気が重くなった。

そうなると、嫌なことに目がいってしまう。

引越しでオレ全然動けてないってこと。

あまり考えて動いてないし、なにより引越ししているポーズを出そう出そうとし
ている。

今になって、自分の悪い癖を身に染みて感じた。


そして、気持ちは上がらなかった。

その原因は、会社の仕事のことを思い出してしまったからだけなのだろうか。

なんだか違う気がした。
劇団の活動のときなのだから、それはおかしいって。

根本的なものは、ヒデミさんの一連の件と関係していて、

ヒデミさんが叱られているのを見て、

引越しが他人ごとじゃなくなった。

引越しをしている時の自分の姿を、自分自身が見つめるようになった。
そして、そのダメさ加減になえた。

だからなのかもしれない。


その夜、オレは先生の話をまとめたメモを見つめ返した。

上手に話そうとすると、失敗する。

上手に話すこつは、

一生懸命に喋ること。

必死になればなるほど、相手に気持ちが伝わる。

口の上手さじゃない。大事なのは伝えること。


今日一日を思い返し、

それがどういうことなのか、ちょっとだけ分かった。

今日、一生懸命に喋っていた人がいた。

とても、とても不器用だったけれど、
必死になって喋っていた。

だから、心に伝わってきた。

ずっと心に残った。
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by postmanda | 2007-09-02 03:10


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