パウワッ

金曜日の夜10時過ぎ。
印刷した紙を取りに移動する。
編集部の中は、誰もいなくなっていた。
残って仕事をしているのは、僕一人だけだ。
紙を取り、戻ろうすると、テレビ画面にダウンタウンの松っちゃんが映っていた。
NHK総合で、松っちゃんとは珍しいと思い、立ち止まった。
そういえば、プレミアム10で松っちゃんのドキュメンタリー番組が放送されるんだった。
画面には、松っちゃんのコントが流れていた。
仕事をしなきゃと、僕はすぐに自分の席に戻った。
コントを見たのは一瞬だけ。
それでも、画面の中の松っちゃんからものすごいエネルギーがほとばしっていたことを感じ取った。
人を笑わせるにはものすごいパワーがいるんだよな・・。

僕は先週の日曜日のことを思い出した。
りE一家といっしょに稽古から帰っている途中のことだ。
稽古をした後で僕は疲れきっていた。
そんな僕は、いつものようにりEとぐだぐだな話していて、気付いてしまった。
僕はそのことをりEに向かって言った。
「オレ、今全然ぼける気がない。これっぽちも沸いてこない」
お笑いユニット「ウェポンズ(仮)」の相方に対して、言ってはいけない言葉を素直に出してしまった。

さらにさかのぼること一ヶ月くらい前になるだろうか。
ダウンタウンのごっつええ感じの中のコント「妖怪人間」を見た僕は、松っちゃんのボケの上手さに興奮した。
ボケの面白さ、ボケの魅力が伝わってきて、自分から積極的にボケてやるぞと意気込んだのだ。
それなのに、僕はりEに対して、ぼけることを放棄する発言してしまったのだ。


ボケをするのにもパワーがいる。
僕にはそれがない。
パワーがないから、何をやっても長続きしない。
パワーがないから、自分から積極的に動こうとしない。


金曜日、仕事を終えた僕は、メールを眺めていた。
絵文字いっぱいの元気なメール。
メイドキャバクラに勤めているメイドからだ。
彼女とはオタク同士ということで、話題が合う。
でも、僕は彼女に対して、どこか冷めていた。
同じオタクでも、オタクの度の深さは彼女の方が圧倒的に上だ。
どっぷりと漫画とアニメの世界に浸かっている。
好きなもの、依存しているものが明確な彼女は、ものすごくテンションが高かった。
オタクであることに負い目がまったくなく、オタクであることをまったく隠そうともしないのだろう。
周りの視線を気にせずに、大きな声でオタク話が出来るだろう。
そんな彼女が発するパワーに対して、僕は恐れを感じていた。
パワーを出すことに対して、恥ずかしさを感じる僕がいる。
パワーを出して、子供のような元気さを出すことに抵抗を感じる僕がいる。
馬鹿になれない。子供のようにはしゃぐことができない。
そんなことできるかよと気取ってしまう僕がいる。
だから、僕は彼女に心の壁を作っている。


パワーを持つ人間とパワーを持たない人間がいる。
パワーを持たない僕は、パワーを持った魅力的な人間に惹かれ、パワーを持った人間的に未熟な人間に距離を取ってしまう。


でも、僕はパワーが欲しい。

今はパワーがないけれど、
明日は、子供のようにはしゃげる?
明日がダメなら明後日?
明後日がダメでもいつかパワーをもてるのだろうか。

僕はパワーを欲している。
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by postmanda | 2007-07-14 19:39


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