入社して1年

体の具合が悪くなるのはあっという間だ。
1日平均17時間労働。
朝の5時まで仕事なんて当たり前。
疲労がたまり、そのため身体のあちこちに無理が出てきていた。
それでも机の前に座り仕事に向かう。
通常の仕事だけでも終電近くまで残って仕事をしているのに、
特集記事の仕事やら、仕事の引継ぎ作業やらでやるべきことがどんどん増えていった。
締め切りまでに仕事を終わらせなければ。
ただそれだけの思いで、僕は仕事を続ける。
僕はこの編集部で何をしたかったのだろう・・・
心の底ではそう思いつつも葛藤する心の余裕さえ持ち得ていなかった。
そして週末の金曜日。
仕事は一向にはかどらず、
その日も徹夜になった。
終電がなくなっても編集部に残っていたのは、僕と職員の先輩の2人だけになっていた。
「今度のコウキの担務替えは不本意だよ」
と先輩が言ってきた。
僕はあと2週間で担当の仕事が替わる。
今の仕事は、出来ていないから担当が替わることになったのだ。
僕はうれしくてたまらなかった。
今の仕事がいやでいやでしかたがなかったのだ。
それが今回の担務替えの正直な気持ち。
しかし先輩は違っていた。
「今回、コウキは負けたと思ってる」
先輩の言葉が心に突き刺さる。
僕は結果に目を向けようとしていなかった。
辛いことから目を背け、周りからの評価に耳を傾けようともせず、
美味しいところだけ意識を向けていた。
今の仕事よりもやりがいのある仕事が与えられる。
でも、認められての昇格ではない。
今の仕事は勤まらないから仕方がなく。
誰も認めない昇格劇なのだ。
僕はこの職場に居場所があるのだろうか。
この半年間のダメな仕事っぷりでもともとなかった信頼は再生できないところまで砕け散った。
「仕事が変わったら今よりも動きやすくなるだろうから、俺の仕事を協力してもらいたいんだ」
先輩は続ける。
「そして来年にはいっしょに仕事をやろう」
その先にはあのビッグイベントの名前が続いて出た。
あのイベントの仕事を僕と先輩でいっしょで・・・・
僕はちょっと心が揺れた。
先輩は先のことまで僕のことを考えていた。
僕は自分自身のことさえこの編集部でこの先何をしたいかビジョンを持っていなかったのに。
僕はこの編集部で自分自身の可能性を捨てていた。
誰もがもう僕に期待をもたない。
当の本人である僕さえもそう思っていた。
でも、先輩だけは違っていた。
この僕にまだ期待を持っている。
一緒に仕事をするようになったら先輩も僕に失望をするかもしれない。
でも、僕はまだこの編集部でやり直せる。
僕が僕の可能性をあきらめないかぎり。
先輩は続けた。
「自分でやりたい企画をどんどん出していこうよ。仕事は楽しいことやらないと」
自分のやりたいことをやるために、仕事を楽しむために僕は編集部を希望した。
そんな入社当事に抱いていた思いを、僕は編集部に所属してから1年経った今、思い出すことが出来た。
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by postmanda | 2007-03-17 01:03


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